【日野市の医師解説】子供の乾燥肌・湿疹は小児科?皮膚科?|正しい保湿と受診の目安
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冬になると子供のほっぺや体がカサカサして、痒がっていませんか?
子供の肌トラブルは、アレルギーや全身状態とも関わるため、まずは日野駅前ファミリークリニックにご相談ください。
この記事では「家での正しい保湿方法」と「病院に行くタイミング」について解説します。
目次
1. 子供の肌荒れ、小児科と皮膚科どちらを受診すべき?
「子供の肌がカサカサしているけれど、小児科と皮膚科、どっちに行けばいいの?」 これは、診察室でもお母さん・お父さんから非常によく聞かれる質問です。
結論から言うと、お子様の皮膚トラブルは、まずは小児科・総合診療科にご相談ください。
もちろん、専門的な検査や手術が必要なケースは皮膚科専門医への紹介が必要ですが、子供の皮膚トラブルの多くは、小児科的な視点での管理が非常に重要だからです。その理由を詳しく解説します。
1-1. 小児科・総合診療科で診るメリット
なぜ「皮膚だけでなく全身を診る」ことが大切なのでしょうか。大きく2つのメリットがあります。
1. 肌トラブルと「アレルギー」の深い関係(アレルギーマーチの予防)
子供の乾燥肌や湿疹は、将来の他のアレルギー疾患(食物アレルギーや気管支喘息、アレルギー性鼻炎)の「入り口」になっていることがあります。
これを「アレルギーマーチ」と呼びます。 肌のバリア機能が弱まると、そこからアレルゲンが侵入し、体がアレルギー反応を起こしやすい状態になってしまうのです。
小児科・総合診療科では、ただ塗り薬を出して終わりではありません。「将来のアレルギー疾患を防ぐ」という視点で、早期のスキンケア指導や、必要に応じてアレルギー検査・内服治療をトータルで行うことができます。

2. 風邪や予防接種の「ついで」に相談できる
子供は冬場、頻繁に風邪を引きますし、定期的な予防接種もあります。「風邪は小児科、肌は皮膚科…」と病院を掛け持ちするのは、お子様にとっても保護者の方にとっても大きな負担です。
当院であれば、「インフルエンザの予防接種のついでに、保湿剤も欲しい」「風邪薬と一緒に肌の薬も出してほしい」といった対応が可能です。
全身の状態を知っているかかりつけ医だからこそ、その子に合った薬の選び方ができます。
1-2. こんな時は迷わず受診を
「これくらいで病院に行ってもいいのかな?」と遠慮される方がいらっしゃいますが、以下のような症状がある場合は、我慢せずに早めに受診してください。
- 夜、痒がって眠れない/何度も起きる
睡眠不足は子供の成長や免疫力に悪影響を与えます。痒みを止める飲み薬などでコントロールが必要です。 - 肌から汁(浸出液)が出ている
「とびひ(伝染性膿痂疹)」などの細菌感染を起こしている可能性があります。抗生物質の塗り薬や飲み薬が必要になることがあります。 - 市販薬を数日塗っても治らない・悪化している
市販薬が合っていないか、炎症が強くステロイドなどの処方薬が必要な状態です。
2. なぜ冬は子供の肌が乾燥するの?(バリア機能の話)
「子供の肌はプルプルで潤っている」というイメージがありませんか? 実は、それは大きな誤解です。
子供の皮膚の厚さは、大人の約半分しかありません。 そのため、水分を保持する力が弱く、冬の乾燥した空気や暖房の風にさらされると、あっという間に水分が蒸発してしまいます。
肌が乾燥すると、「バリア機能」が壊れてしまいます。 健康な肌は、レンガ塀のように細胞が隙間なく並んでおり、外部の刺激をブロックしています。しかし、乾燥して隙間ができると、そこから細菌や「アレルゲン(ダニ・ホコリ・食べこぼしなど)」が体内に侵入しやすくなります。
これが、肌荒れが長引くだけでなく、将来のアレルギー体質(アトピー性皮膚炎や食物アレルギー)を引き起こす原因の一つと考えられています。
★ここがポイント
だからこそ、「保湿」は単なる見た目の問題ではなく、子供の将来のアレルギーを守るためにも重要なのです。
3. 【医師直伝】自宅でできる正しいスキンケア・保湿剤の塗り方
「毎日クリームを塗っているのに、すぐカサカサになる…」 そんな時は、塗り方や入浴方法を少し変えるだけで、効果が劇的に変わることがあります。
3-1. お風呂での注意点
良かれと思ってやっていることが、逆効果になっている場合があります。
- お湯の温度は「38〜39度」が目安
大人には少しぬるく感じるかもしれませんが、40度以上の熱いお湯は、肌を守るために必要な皮脂まで溶かし出してしまいます。 - 体をゴシゴシ洗わない
ナイロンタオルやスポンジで擦る必要はありません。石鹸をしっかり泡立てて、「ママ・パパの手で泡を撫でるように」優しく洗ってあげてください。これだけで汚れは十分落ちます。
3-2. 保湿剤を塗るタイミングと量(FTU)
保湿は「いつ」「どれくらい」塗るかが勝負です。
1. タイミングは「お風呂上がり5分以内」 入浴直後の肌は水分を含んで潤っていますが、タオルで拭いた瞬間から急激に乾燥が始まります。パジャマを着る前、脱衣所にいる間に塗ってしまうのがベストです。
2. 塗る量は「ティッシュが張り付くくらい」 多くの保護者の方が、薬を薄く伸ばしすぎてしまっています。 塗った後にティッシュペーパーを一枚乗せてみて、ヒラヒラ落ちずに張り付くくらいが適量です。「ちょっとベタベタするかな?」くらいが、子供の肌を守るには丁度よいのです。
3. 魔法の単位「1FTU(ワンフィンガーチップユニット)」 医学的に推奨されている塗る量の目安があります。 大人の人差し指の先から第一関節まで、チューブ入りの軟膏を出した量(約0.5g)。これを「1FTU」と呼びます。
この1FTUで、「大人の手のひら2枚分」の面積を塗ることができます。 例えば、子供の片腕なら1FTU、背中なら2〜3FTUくらい必要になる計算です。「思ったよりたくさん使うんだな」と感じられたのではないでしょうか?
4. 処方される薬について(ステロイドは怖い?)
「子供にステロイドを塗るのは抵抗がある…」 そう感じる保護者の方は少なくありません。しかし、薬の役割を正しく理解すれば、ステロイドは決して怖い薬ではありません。 当院で主に使用する2種類の薬(保湿剤とステロイド)について解説します。
4-1. 保湿剤(ヒルドイド・ワセリンなど)
保湿剤ならなんでも良いわけではありません。肌の状態に合わせて使い分けることが大切です。
- ヘパリン類似物質(ヒルドイドなど)
- 肌の奥まで浸透して水分を抱え込む作用があります。「肌に水をあげる」イメージです。カサカサした乾燥肌の治療に最も使われます。
- ローション、クリーム、泡など様々なタイプがあり、季節や好みで選べます。
- ワセリン(プロペトなど)
- 肌の表面に油の膜を張り、水分の蒸発を防ぎます。「肌に蓋(フタ)をする」イメージです。
- 保湿効果そのものは弱いですが、保護作用が強いため、よだれかぶれや、亀裂が入った肌、傷口の保護に適しています。
4-2. ステロイド外用薬への不安について
診察室でよく聞かれる2つの誤解について、はっきりとお答えします。
誤解①:「塗ると肌が黒くなる?」
→ A. いいえ、なりません。
肌が黒く見えるのは、ステロイドのせいではなく、炎症が長く続いた結果として色素沈着(傷跡)が残ってしまったためです。
むしろ、ステロイドを怖がって塗らずに炎症を長引かせる方が、肌が黒くなるリスクが高まります。
誤解②:「成長が止まるなどの副作用がある?」
→ A. 適切な使い方であれば、心配ありません。
塗り薬は飲み薬と違い、体内への吸収はごくわずかです。医師の指示通りの量と期間であれば、全身への副作用が出ることはまずありません。
肌の炎症は「火事」と同じです。
まずはステロイドで一気に火を消し止める必要があります。
そして、火が消えた後もすぐにやめず、保湿剤で肌を整えながら火種の鎮火のためにステロイドの塗る回数を減らしながら再発を防ぐ「プロアクティブ療法(維持する)」が有効です
このメリハリをつけることで、結果的にステロイドを使う総量を減らすことができるのです。
5. 日野駅前ファミリークリニックでの対応
子供の肌トラブルは、成長の過程で多くの親御さんが直面する悩みです。
当院は「ファミリークリニック」として、ただ皮膚の状態を見るだけでなく、その背景にあるアレルギー体質(気管支喘息や花粉症など)の有無も合わせて診療できるのが強みです。
「ただの乾燥肌で病院に行ってもいいのかな?」と迷う必要はありません。 乾燥はすべての肌トラブルの始まりです。ひどくなる前に、ぜひお気軽にご来院ください。
6. まとめ
- 子供の皮膚は薄くバリア機能が弱いため、冬は特に保湿が重要。
- 保湿剤は「入浴後5分以内」に「たっぷりと(ティッシュが張り付くくらい)」塗る。
- ステロイドは怖がらず、医師の指示通り「短期間でしっかり」使うことが完治への近道。
- 日野市でのお子様の皮膚トラブル・スキンケアのご相談は、日野駅前ファミリークリニックへ。
この記事を書いた人:院長 渡辺 彈(家庭医療専門医/指導医・総合内科専門医)

