熱中症予防だけじゃない!健康につながる「水を飲むこと」のメリット
梅雨も明けて、本格的な夏がやってきました。暑くなる季節は熱中症予防のために水分摂取を意識している人は多いでしょう。しかし、熱中症以外の面でも健康のために水分摂取は重要です。日々の診療の中でも意識して水を飲んでいる人が少ないように感じます。
ここでは「水を飲むこと」の大切さを知ることで、みなさんの日々の健康に役立てていただければと思います。
目次
1.人のカラダと水の基本
2.「水を飲むこと」で人のカラダにいいこと5選
3熱中症について知っておきたいこと
4.水分摂取の習慣化とコツ
まとめ
1. 人の体と水の基本
1日に必要な水分量は?
一般的に成人では食べ物に含まれる水分も合わせて2.3~3.5Lの水分量が必要とされています。飲み物(水、お茶、ジュース)からの水分は約80%、残りの約20%は食べ物に含まれています。
活動量や体格にもよりますが、約1.5~2L以上の飲み物を飲むことが推奨されます。
人のカラダに水は大切な役割を果たしています
- 体温調節:暑い環境や運動などで汗をかくことにより体温を調節します。また体内で熱を運び、分散させることで体温を一定に保ってくれます。
- 栄養素の運搬:水は血液の大部分を占めます。血液を通じて酸素や栄養素を体中の細胞に運び、細胞内外の物質交換を助けて栄養素やホルモンを運搬します。
- 老廃物の排出:腎臓で血液から老廃物や毒素をろ過し、尿として排泄します。
- 消化と代謝のサポート:消化酵素の働きをサポートし、食べ物の分解と栄養素の吸収を促します。代謝を良くするのにも必要です。
- 関節や組織の保護:関節の成分のひとつとして関節の動きをスムーズにしたり、脳や脊髄などの組織を保護し衝撃から守ってくれます。
- 電解質バランスの維持:ナトリウム、カリウムなどの体内の電解質のバランスを整えます。これにより人のカラダの機能が正常に保たれます。
2. 水を飲むことで人のカラダにいいことは何?
- 生活習慣病の予防:水を飲むことで血液の循環が良くなると新陳代謝が活発になります。また水分が不足すると濃くなった血液が体内に停滞しやすくなります。これにより脂質異常や糖尿病、高血圧などの生活習慣病につながってしまいます。
- 腎臓・泌尿器系の病気の予防:水分を多く摂ることで尿の量が増えます。すると腎臓、膀胱、尿道などに入り込んだ細菌が繁殖する前に尿とともに排泄され、膀胱炎などの尿路感染症をおこしにくくします。尿の濃縮を防ぐことで、結石なども作られにくくなります。特に女性は体の構造上尿道が短く、細菌が体の中に入って膀胱炎などになりやすいといわれています。また水分が少ないと腎臓に血液が十分にいかず、腎臓そのものの機能が弱まってしまい、腎臓の病気にかかりやすくなってしまいます。
- 肌の潤いや乾燥の予防:水分が肌の細胞に行き渡り、肌の弾力性と潤いが保たれます。
- 便秘の改善、予防:水を十分に飲むことで腸内の水分量が増え、便が柔らかくなり通過しやすくなります。
3. 熱中症について
熱中症は体が正常に体温調節ができなくなった状態をいいます。高温多湿の環境で長時間過ごすことや激しい運動が原因となります。体温が上昇し、発汗や体温調節が追いつかなくなると熱中症を引き起こします。
水分不足=直接的に熱中症を引き起こすとは一概には言えませんが、こまめな水分補給が熱中症予防に重要な役割を果たすことは確かです。体の電解質のバランスが崩れることも関係しています。
- 水分補給だけではなく、スポーツドリンクや熱中症予防の飴やタブレットなどを上手に活用しましょう。
- 高齢者、こどもは特に注意が必要です。のどの渇きを訴えることが上手にできないので、本人が渇いたと感じる前に意識してこまめに水分補給をさせることが大切です。
- めまい、頭痛、筋肉のけいれん、吐き気は熱中症の初期症状です。水分補給だけではなく、涼しい場所へ移動し、体を冷やすことが大切です。
※初期対応をしても症状の改善がなかったり、意識がはっきりしないなどの場合はすぐに医療機関を受診しましょう!
4. 水分摂取の習慣化のコツ
「水分を1日約2Lとりましょう!」と言うと、「もともと水をとる習慣があまりないので」「水が苦手で…」という言葉をよく耳にします。確かにもともと習慣のない人にとってたくさんの水を飲むことはとても大変に感じますよね。
- 少しずつ飲む量を増やす:飲む習慣がない方は一気に増やさず、普段より少し多い目標にして飲む量を徐々に増やしていきましょう。
- 少しずつこまめに飲む:「○○時になったら飲む」「トイレに行ったら飲む」など時間やタイミングを決めて習慣化していきましょう。
- 水の温度や味付けを工夫してみる:水自体が苦手という人も多いようです。水の温度を飲みやすい温度にしたり、フレーバーをつけた水も活用するといいかもしれません。水の種類を変えてみるのもいいかもしれません。
- お茶やスポーツドリンクも取り入れる:カフェイン飲料は利尿作用がありますが、絶対飲まないとは決めつけず、カフェイン量が少ないものを選ぶなどして工夫しましょう。ただし砂糖の入った清涼飲料水、ジュースなどは飲む量に気をつけましょう。
- 飲んだ量がわかるボトルなどを活用してみる:最近は時間と目盛りつきのドリンクボトルもあります。視覚をうまく活用するのもいいかもしれません。
まとめ
「水を飲むこと」は人のカラダへのメリットがとても大きく、シンプルで簡単な健康維持の方法です。熱中症予防の点からも水分補給はとても大切ですが、それ以外の日常的な病気の予防、美容などにも効果があります。
「健康のため水を飲もう」推進運動 https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/watersupply/stf_seisakunitsuite_bunya_topics_bukyoku_kenkou_suido_nomou_index.html