インフルエンザ

インフルエンザとは?

インフルエンザは主にインフルエンザウイルスのA型とB型によって引き起こされる冬の寒い時期を中心に流行する感染症です。稀ですがC型のインフルエンザウイルスというのもあります(D型インフルエンザもありますが人に感染しないようです)。

健康な子供のほとんどは自然に軽快しますが、5歳未満(特に2歳未満)、喘息や心臓病など持病を持っている場合重症化リスクが高いといわれています。

生後6ヶ月未満での約400人に1人、6ヶ月~4歳の850~1800人に1人、5歳~18歳の2500~4000人に1人が入院が必要となります。インフルエンザで入院した小児の0.5%が死亡したという報告があります。

5歳未満のお子さんや持病をお持ちの方、そのご家族の方は特にインフルエンザワクチン接種がお勧めです。

インフルエンザの症状は?絶対に高い熱は出る?

熱出てないからインフルエンザではないですよね?と聞かれることは多いです。

確かにインフルエンザの多くは発熱し約半数が39℃以上の発熱となりますが、約20人に1人は熱は出ません

ワクチンを打った場合、39℃以上の発熱が出る割合が半分になったという報告もあり、ワクチンを打っている人で熱のないインフルエンザが多いです。

その他の症状として咳、鼻水、頭痛、筋肉痛、下痢、嘔吐などがありますが、症状だけで風邪とインフルエンザを区別することは困難です。

どのくらいでうつるのか?

潜伏期間は約2日(1〜4日)とされています。

ウイルス排泄量はA型のインフルエンザでは発症24~48時間後にピークとなります。B型も同じく発症24~48時間後にピークとなりますが、B型は発症前48時間にもピークがあるようです。

発症から5~10日でウイルスはほとんど〜全く気管から検出されなくなるようです。

症状がひどい、治らない時の注意点とは?

中耳炎や肺炎など、インフルエンザの子供の一定数に細菌感染の合併を認めるとされています。

また、インフルエンザを契機とした喘息の増悪や脳炎、髄膜炎、心筋炎などの重篤な合併症もまれに認めます。

インフルエンザと診断されていても、以下のような場合には再度診察を受けることをお勧めしています。

  1. 解熱後数日して再度発熱する
  2. 耳を痛がるようになる
  3. 5日程度経過しても解熱しない
  4. 食事だけでなく水分もほとんど取れなくなる
  5. 遊ぶ元気がなく、呼びかけても反応が悪い、一日中寝ている
  6. 呼吸が早い、ゼーゼーと音がする、息を吸うときに肋骨の間やみぞおちが凹む、鼻の穴がヒクヒクする、肩が上下する

インフルエンザの検査方法・注意点

検査方法

米国感染症学会(IDSA)では精度の高い検査方法として以下のような推奨があります。

  1. 発症4日以内に採取する
  2. 鼻の奥のつき当たり(鼻咽頭)で採取する
  3. 植毛された綿棒(ふわふわの綿棒)で採取する

綿棒が奥深くまで入っていくのに驚かれる方もいらっしゃいますが、精確な検査のために当院では鼻の奥まで入れて検査しております。

注意点

インフルエンザの検査は2点ほど注意する点があります

  • 発症から間もないと偽の陰性となる可能性がある
    インフルエンザの検査は陽性となった場合の精度は高いのですが、偽の陰性が多いのが欠点です。
    発症12時間以内では約2-3割が偽の陰性となるとされています。
    一方で発症12時間以内に抗インフルエンザ薬を使った方が効果が高いという報告もあるため、当院では発症間もないから検査をしないということはありません
  • リスクのない人では検査が陽性となっても治療方針が変わらない可能性がある
    リスクのない人にとって、抗インフルエンザ薬は必須ではありません。インフルエンザとわかっても抗インフルエンザ薬を用いずに様子をみる場合には検査をする必要性はないかもしれません。

いつから登校して良いか?

登校の再開は以下の①、②の長い方にあわせて休むことになっています。

発症6日目から登校可能(発症日は発症0日目)

解熱後3日目から登校可能(解熱日は解熱0日目) *幼児は解熱後4日目から登園可能

例:1/1に発症した場合

①1/5までに解熱した場合1/7から登校可能

②1/5以降解熱すると解熱後3日目から登校可能 

1/11/21/31/41/51/61/71/81/91/10
1/5までに解熱発症日(発症0日目)発症1日目発症2日目発症3日目発症4日目発症5日目登校可能
1/5に解熱発症解熱日(解熱0日目)解熱1日目解熱2日目登校可能
1/6に解熱発症解熱日(解熱0日目)解熱1日目解熱2日目登校可能
1/7に解熱発症解熱日(解熱0日目)解熱1日目解熱2日目登校可能

抗インフルエンザ薬について

共通の特徴として、発症48時間以内に投与開始する必要性があります。

特に薬の種類に希望がない場合、当院で最も使用しているのはタミフルで、最も使用しないのはイナビルです。

外来で処方する抗インフルエンザ薬には以下の4種類があり、それぞれ以下のような特徴がメリット・デメリットがあります

剤型メリットデメリット
タミフル®︎(オセルタミビル)粉、カプセル0歳から使える
世界的に最も研究されている
29時間症状軽減が早い
嘔吐が増える(5%増加)
気管支炎/肺炎/中耳炎などの合併症低下効果はないかも
リレンザ®︎(ザナミビル)吸入吸入で薬を飲むのが苦手でも使える可能性がある
明らかに増える副作用はないかも
成人も含んだ研究で症状改善効果が最も高い傾向があるという報告がある
小児のみの研究では有効性がはっきりと示されてない
肺炎/中耳炎/副鼻腔炎などの合併症低下効果はないかも
イナビル®︎(ラニナビル)吸入1回の治療で完結する
吸入で薬を飲むのが苦手でも使える可能性がある
プラセボと比較して有意差を示せず、日本でしか使われてない
そのため海外での研究が少なく論文も少ない
ゾフルーザ®︎(バロキサビル)粉、錠剤1回の治療で完結する
症状持続時間はタミフルと同等
成人も含んだ研究で合併症リスク低下効果が最も高く、総有害事象が最も低い傾向にあった
歴史が最も浅い
特に小児で耐性化のリスクが指摘されている
5歳未満での投与でより耐性化しやすいかも

まとめ

子供のインフルエンザは大人と同様に高い熱が出たり、咳などの症状が出て苦しむ思いをする方が多いです。

また、時にインフルエンザの合併症により症状が増悪したり長引くことがあるので注意が必要です。

手洗いやマスクといった感染対策やワクチン接種を合わせて行うことで、発症や増悪を防ぐことが大切です。

参考文献

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  • Clinical Practice Guidelines by the Infectious Diseases Society of America: 2018 Update on Diagnosis, Treatment, Chemoprophylaxis, and Institutional Outbreak Management of Seasonal Influenzaa(Clin Infect Dis . 2019 Mar 5;68(6):e1-e47.)
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