こどもの蓄膿症(急性副鼻腔炎)
蓄膿症(急性副鼻腔炎)とは?
ほっぺたやおでこの奥などには副鼻腔という骨の空洞があり、空洞内で炎症が生じているものが蓄膿症です。
4~7歳前後のお子さんで多いとされ、風邪(上気道感染症)の後に発症し約7.5%程度が蓄膿症となるとされます。
以前は小さいお子さんは骨の空洞が未発達のために起こらないとされておりましたが、最近では生後半年〜3歳までに約8%が蓄膿症となったことがあるとの報告もあります。
蓄膿症(急性副鼻腔炎)の経過
症状の経過は典型的には3パターンあると言われております
- 風邪が治らない
10日以上たっても鼻水や鼻詰まり、咳が続きます。
咳は横になると増悪することが多いとされています。
鼻水は色が濃い場合も薄い場合もあるとされます。 - 高熱が3日(72時間)以上続く
風邪としては熱が高く(39℃以上)、色のついた鼻水が3日以上続きます。
顔の痛みを訴えたり、目の周りが腫れてくることもあります。 - 風邪が治った後に再度悪化
風邪が治った数日後に再度鼻水、鼻詰まり、咳などが悪化します。
蓄膿症(急性副鼻腔炎)の治療
有効と考えられう治療の選択肢は主に3つあります
- 抗生物質(抗菌薬)
- 鼻のスプレー(鼻腔内ステロイド)
- 鼻うがい
抗生物質(抗菌薬)
無治療でも40〜45%程度は自然に治るとされていますが、抗生物質の投与で2割程度治癒率が向上したという報告もあります。
ただし、抗生物質は腸内細菌のバランスを崩し、下痢や薬疹などの副作用などもあります。
また、最近では副鼻腔炎に最も有効な抗生物質が深刻な在庫不足となっており、適切な加療が難しくなってきています。
点鼻薬(経鼻ステロイド)
点鼻薬の使用により、鼻の粘膜の炎症をしずめ症状の改善を早める効果があるという研究があります。
ただし、効果に関しては抗生物質ほど十分に研究されておらず、蓄膿症に対して日常的に使用すべきではないとの意見もあります。
鼻うがい
生理食塩水での点鼻スプレーや洗浄が症状や生活の質の改善につながったという研究もあります。
まとめ
蓄膿症かどうかの判断や治療の選択は悩ましいことが多く、医師の間でも治療方針は異なることが多いです。
症状や身体所見、患者さん自身や親御さんの希望も考慮し最適な治療方針を決定いたします。
参考文献
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