CGRP関連抗体薬による片頭痛予防
当院はCGRP関連抗体薬が処方可能です
CGRP関連薬は処方できる医師に条件があるために処方できる医療機関は限られます。
当院は処方要件を満たすため処方可能です。
片頭痛に対してCGRP関連抗体薬が使える人は?
CGRP関連抗体薬は高価な薬のため、処方できる患者にも以下のような要件があります
- 片頭痛の発作が月に複数回以上あり片頭痛の診断基準を満たす
- CGRP関連抗体薬の投与開始前3カ月以上に1カ月あたり平均4日以上片頭痛がある
- 生活指導*や急性期の治療を実施しており、それらの治療を適切に行っても日常生活に支障をきたしている
- 片頭痛発作の発症抑制薬**を使っても効果不十分、副作用・禁忌などを理由に使用できない
*睡眠,食生活の指導,適正体重の維持,ストレスマネジメント等
**プロプラノロール塩酸塩,バルプロ酸ナトリウム,ロメリジン塩酸塩等
CGRP関連抗体薬とは?
片頭痛をきたしている方でCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)の血中濃度が高くなっており、CGRPを投与すると頭痛が生じることなどから片頭痛の発症に関与すると考えられているCGRP。
CGRPはCGRP受容体にくっついて初めて作用するので、これを阻害するのがCGRP関連抗体薬です。
CGRP関連抗体薬として
エレヌマブ(アイモビーグ®︎)、フレマネズマブ(アジョビ®︎)、ガルカネズマブ(エムガルティ®︎)が現在販売されており
基本的に月に1回注射する薬です(フレマネズマブは3ヶ月に1回もあり)。
海外ではリメゲパント (Nurtec®)、アトゲパント (QULIPTA®)という飲み薬も販売されており、今後日本でも経口薬が登場予定です。
CGRP関連抗体薬の効果
エレヌマブ(アイモビーグ®︎)の効果
エレヌマブはヒト抗体(完全なヒト遺伝子由来)であり、メリットは接種部位の痛みなどの副反応が少ないのではとされております。デメリットは長期使用によって自己抗体が出現して効果が乏しくなる人もいるとされてます。
頭痛の改善効果については半分以上頭痛が改善する割合は4割前後とされています。


フレマネズマブ(アジョビ®)の効果
フレマネズマブ(アジョビ®︎)はヒト化抗体(ほぼヒト遺伝子由来)であり、一部ヒト由来成分以外を含みます。長期使用での効果限弱はないとされ、3倍量を3ヶ月毎に投与する方法もあります。
頭痛の改善効果については半分以上頭痛が改善する割合は4割前後とされています。


ガルカネズマブ(エムガルティ®)
ガルカズマブ(エムガルティ®︎)はヒト化抗体(ほぼヒト遺伝子由来)であり、一部ヒト由来成分以外を含みます。長期使用での効果限弱はないとされ、初回は2倍量を投与する必要があります。
頭痛の改善効果については半分以上頭痛が改善する割合は6割前後とされています。



CGRP関連抗体薬の効果比較
上に記載した通り、ガルカネズマブ(アジョビ®)は6割程度の人に頭痛改善がみられておりますが、プラセボでも4割程度の人が改善しています。プラセボとの差をとって比較すると以下のようになり、いずれの薬剤も大差はないことがわかります。

また、元々の片頭痛の日数や重症度、患者の年齢なども文献により様々であるため、単純な比較はできないことに注意が必要です。
CGRP関連抗体薬にかかる費用
診療所では通常時にかかる基本的な費用(初診料など)に加えて以下の費用が追加でかかります
3割負担 | |
在宅自己注射管理料(毎月)[650点] | 1950円 |
導入初期加算(最初3ヶ月)[580点] | 1740円 |
そのため再診療などと含めると3割負担の方は診療所では約4,000~5,000円(1~3ヶ月目)かかります。
また、薬剤料が高価で以下の
1ヶ月あたりの薬剤料[執筆時] | |
エレヌマブ(アイモビーグ®) | 38,980円 |
フレマネズマブ(アジョビ®) | 39,064円 |
ガルカネズマブ(エムガルティ®) | 42,638円(初月は85,276円) |
そのため調剤料などを考慮すると3割負担の方は薬局では約12,000~14,000円かかります(ガルカネズマブは初月は約2倍)。
また、収入に応じて高額療養費が使える可能性があります。
まとめ
片頭痛は日常生活に支障をきたすほどの強い頭痛が出ることが特徴で、市販の頭痛薬を連日大量に使われている方もよく見かけます。
頭痛薬を連用すると腎臓に悪かったり、薬物自体が頭痛をきたすこともあるため予防薬の使用により痛みどめの使用回数を減らすことが重要です。
CGRP関連抗体薬に興味がございましたらお気軽にご相談ください。