おねしょ(夜尿症)

おねしょ(夜尿症)は5歳以降月に1回以上就寝中のおねしょがあり、それが3か月以上継続している場合」とされています。

自然治癒することも多いですが治療により治癒率を2~3倍高めることができるとされます。

5歳以降のおねしょで以下の場合は受診が推奨されます。

  1. うんちがもれたり、昼間にもおしっこがもれる
  2. 小学校1~2年で毎日のようにおねしょがある
  3. 小学校3年以降で週に数回おねしょがある

なぜ『おねしょ』をするのか?

まず『おしっこがしたくなっても起きられない』という要因があり、

それに加えて『夜におしっこが溜められない』、『寝ている時のおしっこの量が多い』などが関与するといわれています。

『おしっこがしたくなっても起きられない』という原因についてはよくわかっておりませんが、おねしょをする患者さんは刺激を与えても起きにくいともいわれています。

おねしょの種類

  • いつからおねしょをするか?
  1. 生まれてからずっとおねしょをする(一次性夜尿症)
    多くの方は生まれてからずっと続くこちらのタイプになります。
  2. おねしょをしない時期があったが再度おねしょをするようになった(二次性夜尿症)
    ストレスを契機におねしょをするようになったり、他に病気があることによりおねしょをきたすタイプです。
    血液検査や画像検査が必要なこともあります。
  • おねしょだけの症状か?
  1. 夜だけおもらしをする(単一症候性)
    約3/4の患者さんがこちらのタイプです。
  2. 昼にもお漏らしをしたり、おしっこが我慢できない症状などがある(非単一症候性)
    約1/4の患者さんがこちらのタイプです。便秘や神経発達症が隠れていることがあるためこれらの精査や治療が必要です。

生活で気をつける事とは?

  1. 寝る前の水分やカフェイン摂取を避ける
    特に就寝2~3時間前からは水分はコップ1杯程度にとどめて、コーヒー、紅茶、緑茶などのカフェインを含むものの摂取を控えることが大切です。
  2. 生活リズムを正す
    寝る時間や起きる時間を一定にすることが大切です。特に寝る前のスマートフォンなどの使用は控えることが大切です。
    また、なかなか寝付けない時には再度トイレに行き完全に尿を出し切ることが重要となります。
  3. バランスの良い食事
    食生活が乱れて便秘になるとおしっこが漏れやすくなることが知られています。食物繊維が不足すると便秘になることがあるので注意が必要です。

おねしょの初回診察

問診

前述した生活の注意事項や家族歴、過去の治療歴、治療に対する本人の意欲、生活リズム、内服薬、排便状態など様々なことを確認します。

検査

おねしょの診察ではまず尿の検査を行います。

尿の中に細菌はいないか蛋白や糖が出てないか、血液が混じってないか、尿の濃さはどうかなどを確認していきます。

記録をつける

ガイドラインでもおしっこやうんちの記録をつけるように推奨されております。

特に、尿の量が多すぎないか、尿は溜められているかは重要となります。

キッチンスケール計量カップをご購入いただき、記録していただきます

 キッチンスケール:どのくらいのおねしょが出たか、オムツの重さを測るために必要

 計量カップ:朝起きてすぐに計量カップにおしっこを出し、どのくらいおしっこが溜められているか確認します

おねしょの2回目以降の診療

約2週間後に来院していただき、おねしょの記録や生活習慣の確認を行います。

おねしょの記録、年齢やおねしょの回数などによっては以下のアラーム療法や薬物療法の開始を考慮します。

アラーム療法

当院ではアワジテックのピスコールを用いております。

ピスコールは専用のオムツが濡れると受信機からアラームが鳴るコードレスタイプの機器になります。

おねしょをする→目がさめることを繰り返すうちに、おねしょをしないようになるという治療法です。

●レンタル費用

機器レンタル代(以下参照)+トレーニングパット代(2000円程度 :1袋30枚入り)+送料/代引手数料(1100円程度)

・機器レンタル代 

1月あたりのレンタル代(税込)
1ヶ月目2,200円
2ヶ月目2,200円
3ヶ月目2,200円
4ヶ月目1,100円
5ヶ月目660円
6ヶ月目440円

・薬物療法

基本的にミニリンメルトOD錠というお薬を使いますが、以下のような特徴や注意事項があります。

  • 口の中で溶ける錠剤無味無臭
  • 夕食から2時間程度はあけて、寝る前(30-60分前)に内服
  • 水は使わず舌の下において溜まってくる唾液で十分に溶かして飲み込みます(すぐに飲み込まない)
  • 吐き気や頭痛などの副作用予防のために水分を制限する(夕食後はコップ1杯程度の水分に留める)