むずむず脚症候群
むずむず脚症候群とは
睡眠時や安静時に脚の不快な感覚のためにじっとしていられず、不穏な運動を生じる病気です。
不快感の感じ方は虫が脚の中を這うような感じ、火照る、むず痒い、痛痒いなど様々です。
手や体の中心部などにも症状が出ることがあります。
日本人の1〜4%がむずむず脚症候群という報告があり、比較的よくみられる病気です。
むずむず脚症候群の原因・特徴
脳内ホルモン(ドパミン)系の機能低下や、脳内の鉄利用障害などが関与するとされますが明確な原因や機序は不明です。
むずむず脚症候群の2つのタイプ
早期発症(45歳未満)と後期発症(45歳以上)で特徴が違うと考えられています。
45歳未満で発症した場合は家族もむずむず脚症候群があることが多く、45歳以上では腎不全、鉄欠乏、妊娠、薬など他の原因によるむずむず脚症候群も多く報告されています。
早期発症 | 後期発症 | |
家族歴 | しばしばあり | あまりない |
鉄欠乏との関連 | 小さい | 大きい |
病状の進行 | ゆっくり | はやい |
治療への反応 | 良い | 悪い場合あり |
むずむず脚症候群で気を付けるべき生活習慣
- 減量
肥満はむずむず症候群のリスクと考えられており、減量が望ましいです。 - 禁煙・禁酒
飲酒や喫煙をしていると2倍以上発症しやすいという研究もあり、禁煙や禁酒をすべきでしょう。 - 運動
運動不足はむずむず脚症候群と関連しているとされるため、運動習慣を身につけることが大切です。
むずむず脚症候群で行う検査
1.採血検査
以下の項目などの確認のため、むずむず脚症候群では基本的には全例採血検査を行います。
- フェリチン(鉄の貯金)
- 腎機能
- 肝機能
また、後述する『むずむず脚症候群をきたしやすい病気』の特徴があればその病気に応じた検査項目を追加します。
終夜ポリグラフ検査
以下の場合などには終夜ポリグラフ検査を行います。
- むずむず脚症候群の可能性が高いが、典型的でない
- むずむず脚症候群の治療薬が効きにくい
- 日中の眠気があり、日中の眠気の他の原因を除外するため
むずむず脚症候群の診断
以下を全て満たす場合にむずむず脚症候群と診断されます
- 脚を動かしたいという強い欲求が存在し、また通常その欲求が不快な下肢の異常感覚に伴って生じる
- 静かに横になったり座ったりしている状態で出現、増悪する
- 歩いたり下肢を伸ばすなどの運動によって改善する
- 日中より夕方・夜間に増強する
まとめ
むずむず脚症候群は睡眠に支障をきたし、日中の眠気などにより生活の質が下がります。
夜間に悪くなり、動かすと改善する足のむずむず感がある場合は医師に相談しましょう。
参考文献
- 日本神経治療学会 標準的神経治療:Restless legs症候群
- Up to date :Clinical features and diagnosis of restless legs syndrome and periodic limb movement disorder in adults
- Restless legs syndrome: An overview of pathophysiology, comorbidities and therapeutic approaches (Review)(Exp Ther Med . 2022 Feb;23(2):185.)
- Arm Restlessness as the Initial Symptom in Restless Legs Syndrome(Arch Neurol. 2003;60(7):1013-1015.)
- Restless legs syndrome: a clinical study of 55 patients(Eur Neurol . 2001;45(2):67-74.)