性感染症(性病)

目次

1. 性感染症(性病)とは
 1-1 性感染症の種類/原因菌
 1-2 性感染症の症状

2. 性感染症の検査について
 2-1 検査の保険適応について
 2-2 当院で検査可能な性感染症
 2-3 検査費用

3. 性感染症と診断されたら
 3-1 他の性感染症も検査
 3-2 パートナーも検査を

4. まとめ

5. 参考文献

1.性感染症(性病)とは

以前は性病と呼ばれておりましたが、近年では性感染症と呼ばれ性行為を介して感染する病気全般を指します。
性感染症の中でもここ数年で若年者のクラミジアや梅毒の感染は急増しており稀な病気ではありません

1-1 性感染症の種類/原因菌

①細菌

  • クラミジア
  • 淋菌
  • 梅毒
  • 軟性下疳菌
  • マイコプラズマ・ジェニタリウム
  • ウレアプラズマ

②ウイルス

  • HIV(AIDS)
  • 単純ヘルペス/性器ヘルペス
  • HPV(ヒトパピローマウイルス)
  • 肝炎ウイルス(B型肝炎、A型肝炎など)
  • エムポックスウイルス(サル痘)

③その他

  • トリコモナス
  • 赤痢アメーバ
  • ランブル鞭毛虫(ジアルジア)
  • カンジダ

1-2 性感染症の症状

性感染症の症状は非常に多彩で無症状のことも多いです。
以下は性感染症により生じる症状の例です

①おしっこをする時の痛み、おしっこの出口から膿が出る、陰嚢の痛み

尿道炎や精巣上体炎で生じます。淋菌やクラミジア、トリコモナスやマイコプラズマ・ジェニタリウムなどが原因となります。

②陰部に潰瘍がある

痛みがあれば単純ヘルペス(性器ヘルペス)、痛みがなければ梅毒などで生じます。そのほかクラミジア(L1-3型)、HIV、エムポックス(サル痘)、軟性下疳菌などで生じることもあります。

③口の痛み、喉の痛み、口内炎

単純ヘルペス(性器ヘルペス)、EBウイルス、サイトメガロウイルス、淋菌、クラミジア、梅毒、エムポックス(サル痘)、マイコプラズマ・ジェニタリウム、HIVなど様々な性感染症で生じます。

④発疹

梅毒、淋菌、肝炎ウイルス、EBウイルス、サイトメガロウイルス、エムポックス(サル痘)など様々な感染症で生じます。

その他にも排便時の痛み、血便、下腹部の痛み、眼の充血、リンパ節の痛み、関節痛など性病の症状は非常に多彩で見逃されることも多いです。

発症2ヶ月以内にリスクの高い性交渉*を行った場合はその旨を医師にお伝えください。

*特に複数のセクシャルパートナーを持つ方との性交渉、風俗店なども含む

2.性感染症の検査について

2-1 検査の保健適用について

主に以下の場合は保健適用になります

  • 性感染症と思われる症状がある
  • パートナーが性感染症の診断を受けている
  • 健康診断や献血などの検査を行い性感染症の疑いがあるとされた

以下の場合は自費になります

  • 症状はなく、パートナーに性病があるかは不明だが心配のため検査したい
  • ブライダルチェック

2-2 当院で検査可能な性病

尿やうがい液での検査

  • 淋菌
  • クラミジア
  • マイコプラズマ・ジェニタリウム(必要時のみ追加)
  • トリコモナス(必要時のみ追加)

採血検査

  • 梅毒
  • B型肝炎
  • C型肝炎
  • HIV
  • EBウイルス(必要時のみ追加)
  • サイトメガロウイルス(必要時のみ追加)

迅速検査(患部を擦る検査)

  • ヘルペスウイルス(性器ヘルペス/単純ヘルペス)(必要時のみ追加)

2-3 検査費用

保健適用の場合、初診料等+検査費用(淋菌・クラミジア・梅毒・B型肝炎・C型肝炎・HIV)では以下の通りです*

*点滴や処方などの費用は除く

費用
3割負担約4500円
2割負担約3000円
1割負担約1500円

3.性感染症と診断されたら

3-1 他の感染症も検査

  • 性感染症にかかった場合、他の性感染についても調べる必要があります。
  • たとえ症状がなくても
    ①人にうつす可能性がある
    ②症状が出た時には治療が困難
    となる病気もあるため、積極的な検索が必要です。

3-2 パートナーも検査を

  • 本人が治療を行なってもパートナーが性感染症の治療を行わないと再感染のリスクがあります。
  • 性感染症によっては無治療であった場合、将来の不妊や流産など様々なリスクがあります。

大切なパートナーを守るためにも必ず受診を勧めましょう。

4.まとめ

  • 性感染症は近年増加傾向にあり稀な病気ではありません
  • 症状がなくても性感染症の検査で陽性となった場合は必ず病院を受診しましょう。
  • 性感染症の症状は多彩であり見逃されることも多いです。思い当たる性交渉があれば医師にお伝えください
  • 性感染症と診断されたら、他の性感染症の検索パートナーの治療が大切です。

5.参考文献

内科

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